ここで1つの結論めいたことを言っておけば、
つまるところ、遅読家というのは能力の有無ではなく、
読書のとらえ方に由来しています。
「本を速く読める人」と
「遅くしか読めない人」がいるのではありません。
「熟読の呪縛から自由な人」と
「それにまだとらわれている人」がいるだけなのです。(本書より)

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●もっと沢山の本に出会いたい

今回紹介する書籍の著者は、書評家として、ライフハッカー(日本版)や、ニューズウィーク(日本版)のブックレビューを執筆する担当者の方。その数は、月間60本近くに上るとの事。
単に書籍を読むだけでなく、内容を理解しレビューとしてまとめことを考えると、驚異的なスピードと言えます。

ところで、書店やamazonでお金を出して買った本、皆さんはどんな感じで読み進めていますか?私は、貧乏性なのか、購入代金の元をとろうと、はじめにから、あとがきに至るまで、一文々々にしっかりと目を通し、じっくりと読み進めるタイプでした。(過去形)
文書を読むこと自体はあまり苦にならないタイプで、常に何かしらの本を断続的に読んでますが、いかんせん、そうした読書の仕方では当然ながら、本を読むのに時間が掛かります。
こうした書評めいた記事を書く端くれの身として、本書の著者が、どう本に向き合い、考えをまとめ、ブックレビューを書いているのか?、そうしたワークの一端を知りたくて本書を手に取りました。

●その読書術とは?

タイトルに遅読家とありますが、これまでももっと速く本や読みたいとの想いから、ずっと以前に何冊かの速読術の本を読みました。そうした速読術には、目の動かし方やページめくりの方法といったフィジカルな要素が含まれているのが、自分にはちょっと眉唾もので挫折したままでしたが、本書は、とても納得感があり、すぐにでも実行できる具体的かつ実践的な内容でした。

大前提として、本書で推奨する読書術は、ビジネス書の類を対象にすることを大前提としています。文章そのものや小説としてのストーリーを楽しむ様な本は対象外と思って下さい。
そして、その読書術を習得するためのその心構えは、冒頭に記載した文章に集約されます。端的に言ってしまえば、熟読することを止めること。つまりマインドセットが必要です。

では、どういう読み方をするか?

「すべてを頭に叩き込むことを前提とした読書」ほどムダなものはないのです。
(中略)
読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」こと

本書にも述べられていますが、ビジネス書を読んで感じることは、その本を読み終わっても記憶や印象に強く残っていることは、ごくわずかであること、そして、その本の主題や結論に加えて、書籍としてのページ稼ぎというわけではないでしょうが、冗長的な内容が多く含まていること。
であれば、その印象に残り、自分自身で価値を感じる、1%をいち早く探し出し、記憶に留めよということが、本書のエッセンスとなります。

その他にも

・音楽を聴く様に読書をすること
・読書に対して、真面目さを捨てきること
・わずかな時間でも1日の中で読書をする時間を決めること
・複数冊を同時に読むこと
・1日で1冊を読みきること(10日間のダラダラ読みより、1時間のパラパラ読み)
・読みながら気になった箇所は、書き出すこと(1ライン・エッセンス)

等、読む本の選び方、本を選ぶ読む時の目的、エッセンスを書き出しな読みまとめること、本棚の管理方法等、著者の考え方や具体的なHow Toがまとめられています。

●速く読むために読み飛ばす箇所

著者の具体的な考え方やHow Toの詳細内容は、本書に譲るとして、パラパラ読みをするにもそのコツが必要となります。ではその方法は何か?
年間700冊もの本を読む著者が、読み飛ばしてもいい箇所を以下の3点にまとめていますので、是非、参考にしてみて下さい。

目印1:商品差別化のために挿入された「著書の自分語り」
目印2:理論や主張を裏づける「個別の事例・体験談」
目印3:期待・危機を煽る「過剰すぎる表現」

そして、その最初のステップとして、はじめに・目次を良く読む

冒頭にも述べましたが、ビジネス書を読んで感じることは、冗長的な内容も多く、この内容ならもっと少ないページでまとめられるのではと思うことが往々にしてあること。
そうした疑問を、著者は3つの目印を挙げて、明確にリードしてくれています。

ちなみに、著者は、音楽ライターとしても活躍されている方で、レコードショップの膨大な在庫の中からの商品との出会いのエピソードや、本自体に、マーカーや書き込みをしないといった箇所は、個人的にもとても共感できる内容でした。

最後に、本書の最後に、著者の書評サイトがURLと共に記載されていましたので、ここでも紹介したいと思います。

<印南敦史の書評>





とにかく、この本に出会ってから、ビジネス書との向き合い方やスタンスが変わりました。
是非、皆さんもご一読を。