アップルのロゴマークを制作したハイテク分野におけるマーケターの巨匠 レジス・マッケンナ。20年前近く前の著書で展開される企業活動におけるリアルタイムの必要性。一人一台のデバイスとしてスマホが普及し、新しいコミュニケーションツールとしてソーシャル・メディアが浸透しても、顧客対応の本質や原理原則は変わらない。
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先日お伺いしたある方の事務所にお邪魔した際に、本棚で見つけたレジス・マッケンナ著「リアルタイム 未来への予言」。
日本語版が出版されたのは1998年でもう19年前。私が本書に出会ったのも10年以上前に遡りますが、とても感銘を受けたを記憶している一冊。未来への予言とある様に、2017年の今、読んでどう感じるのか、久しぶりに本棚から引っ張り出してみました。

アップル・コンピューターのスタートアップを支える


まずは、皆さんも既にご存知かと思いますが、簡単に著者の紹介を。
レジス・マッケンナ氏は、シリコンバレーを拠点に、ハイテク・マーケティングの元祖であり、マッケンナ・グループの創設者。アップルのスタートアップを支えたことは、皆さんも耳にしたことがあるでしょう。最近読んだコトラーの新刊にも登場してました。
アップルの有名なリンゴのロゴマークは、マッケンナ・グループのアートディレクターが制作し、反IBMキャンペーンを仕掛けたのも彼。インテルの広告を見たアップルの創業間もないスティーブ・ジョブスが、インテルの広告を見て、それを手掛けたのがレジス・マッケンナと知り、電話アプローチによってその関係がスタートしました。
これまで、数百社というハイテク企業の支援を行ってきましたが、ご本人は2000年頃には、第一線を引退している様です。

企業による顧客対応の本質や原理原則は何も変わらない

久しぶりに本書に目を落とし、述べられている事、それは、少々乱暴になりますが、決して満足しない顧客に対して、企業は24時間、いつでもどこでも対応可能なチャネルで対応すべしというもの。著者が本書でも記している様に、その当時のネット接続はISDN。近い将来、PCとインターネットが一般顧客にも普及し、企業はそうした対応がより一層求められるだろうという事。

顧客の問い合わせや解決方法に関して、顧客自らがセルフでの解決できる手立てを用意すること、また、共創とは書かれていませんが、顧客を巻き込み課題解決を行うことの重要性が述べられています。

2017年の現在に読み換え可能なキーワード

19年前が一般ユーザーにとってのインターネットの黎明期でPCの爆発的な普及時期であったとすれば、現在はブロードバンド常時接続のスマホやタブレットが現在の通信環境であり、デバイスとなります。
そして、本書で述べられていることは、現在のキーワードに置き換えれば、オムニチャネル対応であり、ソーシャル・マーケティングや共創マーケティング、また、最近のWeb応対の分野では、Web RTC(Web Real-Time Communication)、Web接客と言えるでしょう。
また、顧客対応の重要性は、優れた顧客体験の提供、つまりカスタマー・エクスペリエンスを極める事と符合します。

ちなみに、本書の原題は、REAL TIME~Preparing for the Age of the Never Satisfied Customer
Google翻訳によれば、「決して満足していない顧客の時代のための準備」
日本語訳の副題は、「社会・経済・企業は変わる」とありますが、わがままな顧客はいつの時代でも変わらないこと。また、ネットワークやデバイスの進化により、企業はいつも不満を言う顧客対応に対して、リアルタイムでの対応が必要になること。
企業の顧客とのコミュニケーションの原理原則は不変であることを改めて実感した次第です。